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掲載日:2008/11/9
HUMIプロジェクトがピアポント・モーガン図書館のグーテンベルク聖書のデジタル化に成功

  HUMIプロジェクトは、文部科学省の「オープン・リサーチ・センター整備事業」(ORC)〈注1〉による「人文科学応用デジタルアーカイヴの統合的な構築」(研究代表者:高宮利行文学部教授・HUMIプロジェクト主事)の中で展開する高宮教授を中心としたサブ・プロジェクトの研究活動の一環として、ピアポント・モーガン図書館〈注2〉が所蔵するグーテンベルク聖書の全ページデジタル撮影に成功しました。

  ニューヨークのマンハッタン中心部に所在するピアポント・モーガン図書館は、19世紀後半から20世紀初頭にアメリカ金融界を中心に活躍し、J.P.モルガン(現・J.P.モルガン・チェース)の創始者として知られる金融家、ジョン・ピアポント・モーガンが集めた貴重書や美術品を所蔵しています。3セットものグーテンベルク聖書をはじめ、世界的に最も重要とされる数々の貴重書を含むコレクションは、人文科学系の研究分野で非常に有名なものとなっています。

  今回、HUMIプロジェクトがデジタル化の対象としたのは「旧約聖書本」(Old Testament Copy)と呼ばれるセットです。通常、グーテンベルク聖書は旧約聖書の前半部分を上巻、後半部分と新約聖書を下巻とする2冊を1セット〈注3〉として装丁されています。 この「旧約聖書本」は、旧約聖書全体1000余ページだけが1冊に装丁されて残されている珍しいもので、他のグーテンベルク聖書には見られない組版で印刷されたいくつかのページを含んでいるなど、書誌学的研究対象として大変興味深い資料です。 樫村雅章HUMIプロジェクト研究員(新教育組織創造支援室長付准教授)をリーダーとする遠征隊は、10月15日に現地での作業を開始して、同月末までの2週間半の作業期間中に、全てのページの全体像や、当時ドイツのマインツで活躍していたとされる装飾家による美しい手描き装飾の拡大撮影などを行いました。

  HUMIプロジェクトは特製のブック・クレイドル(書物台)やカメラ架台を開発し、それらを用いた貴重書撮影手法は国際的に高い評価を得ており、これまでに欧州では数々の著名な研究図書館と貴重書デジタル化協同プロジェクトを実現してきましたが、今回は初めて、アメリカの研究図書館との国際協同プロジェクトの実現に至りました。本年2月にはイギリスのマンチェスター大学ジョン・ライランズ図書館とのデジタル化協同プロジェクトにより、同館所蔵のグーテンベルク聖書(上下2巻・全約1300ページ)のデジタル撮影にも成功しており、HUMIプロジェクトは本塾所蔵本を含めて9所蔵機関の11セット19冊のグーテンベルク聖書の高精細デジタル画像を取得したこととなります。これらの画像は、活字印刷メディアの黎明期の謎の解明につなげるべく、デジタル書物学分野での研究に役立てられているばかりでなく、HUMIプロジェクトや原資料所蔵図書館のWebサイトで一般向けにも公開されています。

  HUMIプロジェクトはこの他に、石川透文学部教授を中心としたサブ・プロジェクトの研究活動の一環として、アイルランド・ダブリンのチェスター・ビーティー図書館所蔵の『源氏物語』のデジタル撮影にも成功しています。全54巻、5700ページ余りをデジタル化するために3度の撮影遠征を計画し、昨年2月と11月に続いて、源氏物語の成立1000年を祝う記念すべき年となった今年の7月には3度目の遠征を実施して、無事に全部のデジタル撮影を完了しました。

〈注1〉:慶應義塾大学デジタルアーカイヴ・リサーチセンター(DARC)の拠点整備を対象とした研究助成
〈注2〉:組織全体の名称はThe Morgan Library & Museum
〈注3〉:現存するのが上巻または下巻のみの場合でも、1セットと数える慣わしとなっている




 

 


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